
Gemini Omni 1.1 Flashは、2026年8月27日にプレビュー公開されたGoogleの動画生成モデルです。課金は3つの独立したメーターに基づくトークン従量制で、入力は100万トークンあたり$1.50、テキスト出力は100万トークンあたり$9.00、動画出力は100万トークンあたり$17.50です。Googleは動画の料金を720pで1秒あたり約$0.10と丸めています。
押さえておきたいのは、720pの10秒クリップは動画出力だけで約$1.01かかること、そして解像度が最大のコスト調整レバーであることです。4Kの1秒あたりの料金は、360pドラフトの約9倍になります。
意外に思われる点が2つあります。無料枠はないため最初のトークンから課金されること、そしてテキスト専用のFlashモデルにあるバッチ割引もないことです。料金はGemini APIとVertexで同じです。短いドラフトだけでよければ、360pで生成して、気に入ったものだけアップスケールしましょう。
Gemini Omni 1.1 Flashとは何か
私は仕事でモデルAPIを使っているので、新しい「Flash」モデルが出たらまずリリース記事を無視して料金表を読みます。製品設計の本音がそこに出るからです。Gemini Omni 1.1 Flashの場合、料金表を見ればほぼ全体像がわかります。これは安くなったチャットモデルではなく、たまたまテキストも話せるGoogle DeepMindの動画モデルです。
Googleはこれを「optimized for video generation, offering video output alongside text responses in a single model.」というマルチモーダルモデルと説明しています。モデルIDはgemini-omni-1.1-flash-previewで、プレビュー段階(一般提供ではありません)にあり、2026年8月27日に元のGemini Omni Flashの1.1アップデートとして登場しました。Googleの他のクリエイティブ系モデルで言えば、画像のNano Banana、音楽のLyriaに対する、動画版の兄弟モデルです。
1.1のアップデートは、主にコントロール性の強化です。シーン延長(クリップを10秒刻みで累計40秒まで延ばせる)、最初と最後のフレームの指定、キャラクターの一貫性を保つ3秒の動画リファレンス入力、4Kアップスケール、そしてGoogleによれば720pより最大60%高速でコストは約3分の1になる360pのドラフトモードが加わりました。このモデルを使って開発しているローンチパートナーとして、Adobe、Figma、Runwayが挙げられています。
名前についての注意点を先に述べておきます。「Omni」はあらゆるモダリティを連想させますが、このモデルはテキスト・画像・動画を入力として受け取り、テキストと動画を出力として返します。音(音声、音楽、効果音)は動画の一部として生成されますが、単体の音声生成や画像生成のモデルではありません。ファミリー全体での位置づけは、Geminiの概要記事で紹介しています。
Gemini Omni 1.1 Flashの料金を一覧で確認
Google公式ページからそのまま引いた、料金体系のすべてです。表示価格と実際の価格のズレを読み解く必要はなく、トークン単価がそのまま料金です。
| メーター | 100万トークンあたりの料金 | 対象 |
|---|---|---|
| 入力 | $1.50 | 送信するテキスト、画像、音声、動画 |
| テキスト出力 | $9.00 | テキストの応答と推論トークン |
| 動画出力 | $17.50 | 生成された動画(音声付き) |
Gemini APIの料金ページとGemini Enterpriseの料金ページの両方がこの数字を掲載しており、一致しています。Gemini APIのページには、わかりやすい表現も加えられています。動画出力は720pで「approximately $0.10 per second」、無料枠は「Not available.」です。
トークン課金の動画モデルの落とし穴は、「100万トークンあたり」という表記だと、出力が動画になったときにトークンがどれだけ速く積み上がるかが見えにくいことです。次のセクションで説明します。
3つのメーターと、動画出力が効いてくる理由

頭に入れておきたいのは、動画出力はトークン単価が入力の約12倍だということです。通常のチャットモデルでは入力と出力の差は小さな倍率に収まるので、「1回の呼び出しあたりのコスト」をざっくり考えられます。このモデルでは、1回の呼び出しで3つの単価が同時に課金されることがあります。プロンプトのトークンは$1.50、モデルが返すテキストは$9.00、生成された動画の全フレームは$17.50です。
実際の利用では、動画出力のメーターが圧倒的に大きく、他の2つは誤差程度です。長いテキストプロンプトでも数十分の1セント程度ですが、4Kを数秒生成すれば数ドルになります。このモデルの予算を立てるときは、動画の秒数を基準にして、それ以外は誤差として扱いましょう。
Googleが各入力モダリティをトークンに換算する方法を示します。実際の課金はこのトークン数に基づきます。
| 入力モダリティ | トークンレート | $1.50 / 100万での費用 |
|---|---|---|
| テキスト | 通常のトークン数 | $1.50 / 100万トークン |
| 画像 | 1枚あたり1,120トークン | 1枚あたり約$0.0017 |
| 音声 | 音声1秒あたり32トークン | 1秒あたり約$0.00005 |
| 動画 | 動画1秒あたり5,792トークン | 動画1秒あたり約$0.0087 |
これらの入力コストは本当にわずかです。参照画像を1枚入れても1セントにも満たない額です。お金がかかるのは出力側です。
動画1本の実際のコスト
動画出力は秒単位で計測され、1秒あたりの料金は解像度によって変わります。Googleがトークンレートを直接公開しているため、以下は推定ではなく計算結果です。1秒あたりのトークン数に、出力単価$17.50を掛けています。
| 解像度 | 1秒あたりのトークン数 | 出力1秒あたりの費用 |
|---|---|---|
| 360p(ドラフト) | 1,931 | 約$0.034 |
| 720p | 5,792 | 約$0.101 |
| 1080p | 8,688 | 約$0.152 |
| 4K | 17,376 | 約$0.304 |
具体的な計算例です。音声付き720pの10秒クリップは出力57,920トークンで、約$1.01です。同じ10秒を360pドラフトモードで作ると約$0.34、4Kにすると約$3.04です。720pでクリップを上限の40秒まで延長した場合、動画出力は約$4.05になります。
プロジェクトを実行する前に、以下に自分の数字を入力して費用を確認してみてください。
計算機から見えてくるパターンは、月額がクリップ数と秒数に比例して増え、さらに解像度が全体を掛け算するということです。720pの短いドラフトを月200本作ると約$200ですが、同じ量を4Kで作ると$600近くになります。
コストを左右するのは解像度、だからドラフトモードを使う

Googleが360pドラフトモードを用意したのはこのためで、私ならワークフロー全体をこれ中心に組み立てます。1秒あたりのコストは360pから4Kまでで約9倍に上がりますが、構図、動き、そもそもシーンが成立するかといったクリエイティブな判断に4Kは必要ありません。安価な360pのドラフトをまとめて生成し、うまくいったものを選び、その1本だけを1080pや4Kで再レンダリングまたはアップスケールします。
逆に、すべてをフル解像度で生成して大半を捨てるやり方は、動画生成の請求額がいつの間にか3倍になる典型です。画像生成でのNano Banana Proの料金にも同じ罠がありますが、動画では時間という次元が加わり、ミスのコストがさらに膨らみます。
備わっていないもの

テキスト専用のGemini Flashモデルから移ってくる場合、持ち込みがちな3つの前提がここでは当てはまりません。
- 無料枠なし。 テキスト用Flashモデルにはプロトタイプ用の無料APIの枠があります。Omni 1.1 Flashには、Gemini APIの料金ページによればありません。最初のトークンから課金されるので、本番だけでなくテストの予算も見込んでください。
- バッチ割引なし。 Googleのバッチ50%割引はGeminiラインアップの中でも屈指のお得な制度ですが、このモデルはバッチ推論に対応していないため適用されません。すべての秒数が定価です。
- 従量課金もプロビジョンドスループットもなし。 アクセスはグローバルリージョンの固定クォータのみです。ほとんどのチームには問題ありませんが、大量のテキスト処理のように専用の処理容量を購入することはできません。
どれも致命的ではありません。ただ、「安そうだ」という第一印象が最初の請求書で驚きに変わりがちな種類の細かい点であり、導入を決める前に仕様ページを10分かけて読む価値があるのはそのためです。
Gemini APIとVertex:料金は同じ
Googleのモデルでは毎回出てくる疑問があります。Gemini API(Google AI Studio)経由とVertex系のGemini Enterprise Agent Platform経由では、どちらが安いのか。Omni 1.1 Flashでは、トークン料金は同一です。どちらの環境でも、入力$1.50、テキスト出力$9.00、動画出力$17.50です。
つまり、選ぶ基準は料金以外のすべてです。Gemini APIは最も早く始められ、個人開発やプロトタイプに向いています。Enterprise Agent Platformは、組織レベルの管理、IAM、その他のGoogle Cloudのガバナンスが必要なときに選ぶ場所です。このモデルは、AI Plus、Pro、Ultraの契約者向けにGoogle Flowでも利用でき、シーン延長はGeminiアプリ自体にも登場します。安く済みそうだからではなく、チームがすでに使っている環境に合う方を選んでください。料金は同じです。
他のGemini Flashモデルとの比較
「Flash」という名前のせいで誰もが安さを期待するようになっており、そこにOmni 1.1 Flashの紛らわしさがあります。テキストについては中位のFlashモデル並みの価格です。動画メーターは、テキスト系のラインアップには相当するものがない部分です。
| モデル | 入力 / 100万 | 出力 / 100万 | 無料枠 | バッチ |
|---|---|---|---|---|
| Gemini Omni 1.1 Flash | $1.50 | テキスト$9.00 / 動画$17.50 | なし | なし |
| Gemini 3.5 Flash(テキスト) | $1.50 | $9.00 | あり | あり |
| Gemini 3.7 Flash(テキスト) | $0.75* | $3.75* | あり | あり |
| Gemini 2.5 Flash(テキスト) | $0.30 | $2.50 | あり | あり |
*Gemini 3.7 Flashはプロモーション価格で、Gemini APIの料金ページによれば2026年12月31日以降は$1.50 / $7.50に上がります。
結論として、Omni 1.1 FlashのテキストトークンはGemini 3.5 Flashとまったく同じ価格なので、このモデルと会話するためにプレミアムを払うわけではありません。支払っているのは動画メーターの分で、これはテキスト用Flashモデルが担う仕事とはまったく別の製品です。2.5 Flashと価格で比べても的外れで、同じ仕事をしているわけではありません。
Gemini Omni 1.1 Flashは価値があるか
きめ細かなコントロール(シーン延長、キーフレーム制御、キャラクターの一貫性)を備えたプログラムによる動画生成が必要で、1秒単位のコスト管理に抵抗がないなら、できることに対して妥当な価格です。360pドラフトのワークフローを使えば、本来支出の大半を占めるはずの試行錯誤の段階も手頃に収まります。
ブレーキを踏みたいのは、単に試している段階の場合です。無料枠がないため、テストのたびに実費がかかります。大量のバッチレンダリングが目的なら、バッチ割引がないのも痛手です。そうした場合は、ストーリーボードを入念に作り、高解像度に手を出す前に360pでプロトタイプを作りましょう。
正直にまとめると、Omni 1.1 Flashは、コントロールされた反復的な動画制作にはお得で、手当たり次第の大量生成には向かないモデルです。組み込む前に、自分がどちらをやろうとしているのか見極めてください。
AIスタックに合わせたコンテンツ作り

Gemini Omni 1.1 Flashのようなモデルはインフラです。プロダクトに組み込む素の機能であり、あなたのブランドも、ドキュメントも、何を公開したいのかも知りません。そのギャップを埋めるのがeeselです。モデルAPIの代わりに、eeselはすぐ働けるAIチームメイトを提供します。現在のラインアップの1つがAIブログライターで、あなたの会社のコンテキストをすでに理解しており、テーマからリサーチ済みでブランドに沿ったドラフトを作ります。AIヘルプデスクのチームメイトがサポートチケットを処理するのと同じ仕組みです。
Omni 1.1 Flashで動画デモを公開するときに、ローンチ記事、ドキュメントページ、比較コンテンツも必要なら、このチームメイトの出番です。無料で試せますし、コンテンツがすでにあるツールとも連携します。
よくある質問
Gemini Omni 1.1 Flashの料金はいくらですか?
Gemini Omni 1.1 Flashはトークン単位で課金されます。入力は100万トークンあたり$1.50(テキスト、画像、音声、動画の入力)、テキスト出力は100万トークンあたり$9.00、動画出力は100万トークンあたり$17.50です。Googleは動画出力を720pで1秒あたり約$0.10としています。最新の価格はGemini APIの料金ページをご確認ください。
Gemini Omni 1.1 Flashに無料枠はありますか?
ありません。テキスト専用のGemini Flashモデルと違い、Gemini Omni 1.1 Flashには無料枠がなく、最初のトークンから課金されます。Googleのモデルを無料で試したい場合は、Geminiの標準料金の各プランに無料のAPI枠が引き続き含まれています。
Gemini Omni 1.1 Flashで10秒の動画を作るといくらかかりますか?
音声付き720pの10秒クリップは出力が約57,920トークンで、入力やテキストのトークンを加える前の動画出力料金は約$1.01です。360pのドラフトモードにすると約$0.34まで下がります。
Gemini Omni 1.1 Flashにバッチ50%割引は適用されますか?
いいえ。このモデルはバッチ推論に対応していないため、Geminiの通常のバッチ50%割引は適用されません。Gemini 3.5や3.7 Flashのようなテキスト専用のFlashモデルでは引き続き割引を受けられます。