
率直に言おう。カスタマーサービスのチーム運営は、常に水面に顔を出し続けようともがいているように感じることがある。チケットは山のように積み上がり、顧客は答えを今すぐ求め、チームはいつだって忙しい。けれど、"忙しい"ことは"成果が出ている"ことと同じだろうか? まったく違う。
チームのパフォーマンスを勘で推し量るのと、確信を持って把握する違いは、正しい数字を追えているかに尽きる。とりわけ2025年の今、AIがほぼあらゆる業務に組み込まれる中で、カスタマーサービスKPIをしっかり押さえるのは「必須」だ。新しいツールの効果を測り、チームに役立つフィードバックを返し、部署の価値を会社全体に証明するための土台になる。
雑音は脇に置こう。ここでは本当に効く10個のKPIを解説し、生データを「顧客体験の向上」と「チームの混乱を減らす」につながる行動に変える方法を伝える。
カスタマーサービスKPIとは?
KPI(主要業績評価指標)とは、サポートチームが最重要目標をどれだけ達成できているかを示す、具体的で測定可能な値のこと。いわば、カスタマーサービス全体のバイタルサインだ。何がうまくいっているのか、どこが崩れているのか、どこに集中すべきかをハッキリ教えてくれる。
メトリクスとKPIは混同しやすい。メトリクスは、先月受け取った総チケット数のように「何かを記録する単なる数値」だ。データポイントにすぎない。一方のKPIは、そのメトリクスを戦略目標に直接結び付けたものだ。
たとえば、"First Contact Resolution rate(初回対応解決率)"は、素早く効果的なサポートを提供するという目標に紐づいているためKPIとなる。この割合が上がっていれば、その目標に近づけているということ。単純明快だ。良いKPIはダッシュボードを飾るための数字ではない。エージェントのパフォーマンスを改善し、顧客をより満足させ、プロセス全体を滑らかに回すための本物の示唆をくれる。
このトップ10のカスタマーサービスKPIを選んだ基準
すべてのKPIが同じ価値を持つわけではない。むやみに大量のKPIを追えば、データに溺れるだけだ。ここでは、本当に大切な指標に集中できるよう、シンプルだが強力な3つの基準で選んだ。
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顧客体験への直接的な影響: その数値は、顧客がどれだけ満足(あるいは不満)かを明確に示しているか? 実際の顧客の感情を反映するメトリクスに絞った。
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運用効率: チームの生産性やリソースの使い方が適切かを示しているか? 重大な問題に育つ前にボトルネックを見つける助けになるKPIを選んだ。
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ビジネス価値: 日々のサポート業務が、顧客維持やコスト削減などのボトムラインに結び付いていることを示せるか? チームのインパクトを会社に示すための要だ。
このリストは、個々のエージェントの働きぶりから、顧客関係の長期的な健全性まで、バランスよく見渡せるように構成している。
主要カスタマーサービスKPIの早見表
まず概要を知りたい人向けに、これから詳しく扱うKPIを手早くおさらいしておこう。
KPI | 測定内容 | 主要目標 | 影響領域 |
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初回対応解決率(FCR) | 1回のやり取りで解決した割合(%) | 向上 | 効率、満足度 |
平均解決時間(ART) | チケットをクローズするまでの平均時間 | 短縮 | 効率、満足度 |
顧客満足度(CSAT) | やり取り直後の満足度 | 向上 | 満足度 |
ネット・プロモータースコア(NPS) | 長期的な顧客ロイヤルティ | 向上 | ロイヤルティ、成長 |
顧客努力指標(CES) | 解決までの容易さ | 低減 | 満足度、ロイヤルティ |
チャネル別チケット件数 | 各サポートチャネルからのチケット数 | 最適化 | 効率、戦略 |
1件あたり解決コスト | 1件を解決するのに要した総コスト | 削減 | 事業価値 |
1チケットあたりの担当者応答回数 | 解決までに必要な担当者の返信回数 | 減少 | 効率 |
チケットエスカレーション率 | 上位サポートが必要になったチケットの割合(%) | 減少 | エージェントのパフォーマンス |
セルフサービス利用率 | セルフサービスを利用した顧客の割合(%) | 向上 | 効率、ディフレクション |
2025年に追うべきカスタマーサービスKPI 10選
それでは、サポートチームが追うべき最重要KPIを10個、意味・重要性・実践的な改善方法まで噛み砕いていこう。
1. First contact resolution (FCR)
概要: 最初のやり取りだけで完全に解決できたサポートチケットの割合。転送も追客もなし、ワンショットで解決。
重要な理由: FCRが高いのは、効率的で知識豊富なチームの証。たらい回しにされることなく素早く問題が解決するので、顧客はその良さに気づく。
改善方法: FCR向上のカギは、エージェントが必要なときに必要な情報へ即アクセスできること。ヘルプ記事、過去チケット、バラバラなGoogle Docsに知識が散らばっていると、ほぼ不可能だ。eesel AIのようなAIは、これらすべてから学習して完璧な返信案を下書きし、初回で解決できる自信と材料をエージェントに与えてくれる。
2. Average resolution time (ART)
概要: チケットが開かれてから完全にクローズされるまでの平均時間。
重要な理由: スピードがすべてではない(速くても間違っていれば意味がない)。それでもこのKPIは、チーム全体の効率を示す重要な指標。解決に時間がかかるなら、不格好なプロセス、トレーニング不足、あるいは製品の難題など、掘り下げるべき課題のサインかもしれない。
改善方法: 一次対応の自動化を考えよう。多くの問い合わせはシンプルで反復的だ。eesel AIのAI Agentなら、よくある質問を自動で処理し、人間のエージェントは本来の専門性が必要な複雑案件に集中できる。結果として全体の平均は下がり、チームはより「おもしろい」問題に取り組める。
3. Customer satisfaction (CSAT)
概要: 顧客の即時的な満足度を測る指標。対応後の短いアンケートで「本日の対応にどのくらい満足しましたか?」のように尋ねるのが一般的。
重要な理由: CSATは個々のやり取りに対する即時フィードバック。単一エージェントのパフォーマンスから、ワークフロー全体まで、何がうまくいき、何がダメかを特定できる。サービス品質のリアルタイムな脈拍だ。
改善方法: 高いCSATの秘訣は「一貫性」。eesel AIのAI Copilotは、誰が対応してもブランドのトーンに沿った高品質で正確な回答を支援。顧客はより満足し、チーム全体で安定したCSATを実現できる。
4. Net promoter score (NPS)
概要: 「0〜10の尺度で、当社を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか?」という一問で長期的な顧客ロイヤルティを測る指標。
重要な理由: NPSはブランド全体の健全性と成長可能性を映す重要指標。9〜10を付ける"Promoters"(推奨者)は最大のファンで、購入額が増え、長く使い、周囲に勧めてくれる。
改善方法: NPSは単発のサポート対応だけでなく、顧客体験全体の反映だ。スムーズで親身、かつ役立つサポート体験はその中心にある。eesel AIのようなツールで素早く正確な支援を提供できれば、中立の"Passive"(中立層)を熱烈な"Promoter"(推奨者)へと変えられる。
5. Customer effort score (CES)
概要: 問題解決までに顧客がどれだけの「手間」を要したかを測るKPI。一般的には「この会社は私の問題解決を容易にしてくれた」にどの程度同意するかを尋ねる。手間が少ないほど良い。
重要な理由: Gartnerの調査でも、顧客にとって「楽であること」がロイヤルティの強力なドライバーであると示されている。何度も説明を繰り返したり、3人もエージェントにたらい回しにされたり、ヘルプセンターを1時間探し回らなければならないようでは、顧客は離れていく。
改善方法: 助けを得るまでの道のりを、とにかく「痛みなく」。サイトやアプリに埋め込めるeesel AIのAI Chatbotなら、24時間いつでも即答。顧客にとって最小の労力で解決にたどり着ける。
6. Ticket volume by channel
概要: メール、チャット、電話、ソーシャルなど、各チャネル経由で受け取るサポートリクエストの総数。
重要な理由: リソース計画の最良の相棒。顧客がどのチャネルを好むかが分かるので、適切に人員配置できる。特定チャネルでの急増は、何かが起きているという早期警戒にもなる。
改善方法: このデータを、オートメーションの戦略に生かそう。もしZendeskやFreshdeskのようなヘルプデスクでメールキューが膨れ上がっているなら、eesel AIのAI Agentを直接連携して大量のチケットを自動処理させられる。人員をすぐ増やさずとも、ボリュームを捌けるようになる。
7. Cost per resolution
概要: サポートチームの月次総コスト(人件費、ソフトウェア等)を、その月に解決したチケット数で割った値。
重要な理由: チームの仕事が会社の財務にどう結びつくかを示す中核ビジネスKPI。安さ至上主義ではなく、「素晴らしいサービスをいかに効率よく提供するか」を目指す指標だ。
改善方法: この数字を下げる最も分かりやすい方法は自動化。ただし注意したいのは、解決件数ベースで課金するAIベンダーも多いこと。繁忙月には請求が跳ね上がる。eesel AIの料金は「解決件数」ではなく「やり取り回数」に基づく予測しやすいモデル。コスト効率よく自動化し、1件あたり解決コストをサプライズ請求なしで下げられる。
8. Agent touches per ticket
概要: 1つのチケットを解決するために、エージェントが平均何回返信したかを示す指標。やり取りの往復回数に着目する。
重要な理由: 応答回数が少ないほど、解決はスムーズであることが多い。回数が多いなら、初手で必要情報が揃っていない、社内プロセスが分かりにくい、あるいは初回返信が不十分である可能性がある。
改善方法: エージェントが一度で解決できる材料を揃えよう。eesel AIのAI Copilotは、ヘルプセンターやConfluence、過去チケットなど、あらゆるナレッジから情報を引き出し、問題全体を解決する網羅的な返信案を作成する。
9. Ticket escalation rate
概要: 一次対応のエージェントだけでは解決できず、シニアやマネージャー、エンジニアリングなど他部署に引き上げが必要になったチケットの割合。
重要な理由: エスカレーション率が高いのは赤信号。ナレッジベースの不備、追加トレーニングの必要性、あるいは一次対応の自信・装備不足を示している可能性がある。
改善方法: 良いトレーニングと良いツールはセットで効く。eesel AIのInternal ChatをSlackやMicrosoft Teamsに直接展開すれば、新人でも社内ドキュメント全体から根拠付きの即時回答を得られる。自信がつき、シニアの肩を何度も叩く必要が減る。
10. Self-service utilization rate
概要: ナレッジベース、FAQ、チャットボットなどのセルフサービスで自己解決し、チームに連絡しなかった顧客の割合。
重要な理由: 利用率が高いのは大勝利。問い合わせのディフレクション(自己解決誘導)に成功してコストが下がり、顧客も好きなタイミングで答えを得られる(多くの場合その方を好む)。
改善方法: セルフサービスは「正しい答え」があってこそ価値が出る。eesel AI Chatbotは、ヘルプセンターや社内資料、さらにはShopifyの商品カタログにも接続し、常に正確で関連性の高い回答を提供。セルフサービスを本当に役立つものにする。
KPIを手に入れた。その次は?
データを持つだけでは不十分。価値は、それを賢い意思決定に生かしてこそ生まれる。考え方のシンプルな枠組みはこうだ。
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一過性ではなく「傾向」を見る: 1日の数字だけでは大して語れない。スパイクやディップは偶然かもしれない。週次・月次のトレンドを見て、チームの真の姿を掴もう。
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KPIは組み合わせて評価: 指標は単体で見ない。平均解決時間(ART)が非常に低いのは素晴らしいが、エージェントが急ぎすぎてCSATが底を打っているなら本末転倒。効率系(ARTなど)と品質系(CSATやCESなど)を常にペアで見る。
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明確で達成可能な目標設定: KPIをチームで共有し、現実的なターゲットを一緒に決める。透明性が生まれ、目標が一致し、モチベーションも高まる。
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AIで盲点を炙り出す: ツールは数字を表示するだけでなく、洞察をくれるべき。たとえばeesel AIのレポートは自動化率やコスト削減を追跡するだけでなく、回答できなかった質問を分析してナレッジベースの穴を特定する。次に作るべきヘルプコンテンツが、データに基づいて明確になる。
ダッシュボードを超えて——自動化でKPIを前進させる
従来の改善法は、ダッシュボードをにらみ、週次会議をこなし、小さな改善を積み重ねることだった。これからは、AIでそのプロセス全体を加速させる時代だ。
eesel AIのようなプラットフォームなら、KPIを測るだけでなく、積極的かつ自動的に改善できる。チームを置き換えるのではなく、少ないストレスでより多くの成果を出すための道具を与えるのが目的だ。とても便利なのは、本番稼働前に過去チケットでパフォーマンスをシミュレーションできる機能。導入リスクなしでKPIへの影響とROIの見込みを明確にできる。
すべてのカスタマーサービスチームが追うべき最重要KPI 10選。
サポートチームを次のレベルへ引き上げる準備はできていますか?
正しいカスタマーサービスKPIを追うのが第一歩。だが、2025年に本当に影響を出すには、モダンなAIツールを活用することが鍵だ。FCR、ART、CESといった指標に注目しつつ、スマートな自動化でチームを支援すれば、好循環が生まれる——顧客はもっと満足し、エージェントはより主体的になり、ビジネスの収益性も健全になる。
KPIをただ追うだけでなく、変革しよう。eesel AIはヘルプデスクに数分で接続でき、今日から主要指標の改善を始められる。無料トライアルを開始するか、デモを予約して実際の動きを確かめてほしい。
よくある質問
まずは基本から始め、パフォーマンスの明確なベースラインを作りましょう。顧客を満足させられているかを把握するための顧客満足度(CSAT)と、チームの効率を測る平均解決時間(ART)に注目します。この2つに絞れば、チームに過度な負担をかけずに優れた出発点になります。
数十個を追うより、影響の大きい少数に集中する方が賢明です。出発点としては、主要な事業目標に合致する中核KPIを3〜5個。例えば、満足度(CSAT)、効率(FCR)、ロイヤルティ(NPS)をそれぞれ1つずつ。
はい、間違いなくあります。平均解決時間だけを測ると、担当者がチケット処理を急ぎすぎてサービス品質が下がり、CSATの低下を招く可能性があります。迅速さと同時に高水準を保てるよう、効率系KPIと品質系KPIのバランスを常に取りましょう。
メトリクスとは、1日の受信チケット数のようなあらゆるデータポイントを指します。カスタマーサービスのKPIとは、戦略目標に向けた進捗を測るために選ぶ特定のメトリクスのことです。例えば、一次解決率(First Contact Resolution、FCR)は、効果的なサポート提供という目標に直結しているためKPIに当たります。
KPIによります。チケットボリュームやARTといったオペレーショナルな指標は、ワークフロー管理のために毎日または毎週確認できます。NPSや解決あたりコスト(Cost Per Resolution)のような、より広範で戦略的なKPIは、長期的な有意な傾向を見極めるために月次または四半期ごとにレビューするのが最適です。
CSATが低い場合は、顧客のジャーニーを測るKPIを確認しましょう。カスタマーエフォートスコア(CES)と一次解決率(FCR)をチェックしてください。エフォートスコアが高い、または解決率が低いということは、プロセスに対する顧客の不満が大きいことを意味する場合が多く、満足度が低い一般的な原因です。